トランプ、エルサレムをイスラエルの首都と認定!アメリカ人の宗教

トランプは大統領就任前の選挙期間中(2016年1月~11月)から
『私たちはイスラエルを1000%守る』、
『アメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移す』と
発言してきました。

https://www.youtube.com/watch?v=pNeqah9of7Q
トランプ イスラエルを1000%守る!

https://youtu.be/9cE1pCKaGlg
AIPACでの演説(2016年3月)

AIPACとはアメリカ最大のユダヤ人ロビー団体で
共和党・民主党の議員候補に献金し、AIPACの会員にはその議員に投票し当選させ、
イスラエリ寄りの政策を実行させています。
アメリカ合衆国大統領首席補佐官(2009-2010年)をつとめ、
現在シカゴの市長になっているラーム・エマニュエルのような
親イスラエルの議員が育成されています。
現トランプ政権の70%以上はイスラエル寄りの政策支持です。
(参考: アメリカ・イスラエル公共問題委員会

トランプは2017年12月6日、エルサレムをイスラエルの首都に認定しました。
12月7日にティラーソン国務長官は
「我々はアメリカ国民の実行に移しただけだ」と発言していますが
なぜ多くのアメリカ人が支持しているのでしょうか?

キリスト教徒ならだれでも知っている旧約聖書第12章3節。
『主はアブラハムにいわれた
 あなたを祝福する者をわたしは祝福し、あなたをのろう者をわたしはのろう。
 地のすべてのやからは、/あなたによって祝福される。』
アブラハムとはユダヤ教・キリスト教・イスラム教を信じる
いわゆる啓典の民の始祖です。

(参考:アブラハム

ユダヤ教やキリスト教世界ではアブラハムをユダヤと解釈し
『ユダヤを祝福する者を神は祝福し、ユダヤをのろう者を神はのろう。』
と信じ込んでいます。
これがトランプの言うアメリカ第一主義と結びついて
アメリカの政策に影響していると考えることができます。

ユダヤ人移民を受け入れたオランダやイギリスが
17,18世紀に世界中に植民地を獲得した例や、
ユダヤ人金融システムを取り入れたアメリカが
世界の超大国として君臨している歴史があり、
一見彼らの解釈は本当のように見えます。

しかしモンゴル帝国やペルシャなど非キリスト教世界では全く当てはまらず、
さらにヨーロッパ各国で排斥されたユダヤ人の歴史や
イスラエルを破壊したローマ帝国が地中海で覇権得ていたなど、
一概に言い切れない事実が多く存在しています。
日本ではクリスチャンの高原剛一郎氏が
旧約聖書第12章3節を盛んに宣伝しています。

アメリカには聖書の独自解釈から
「イスラエルやユダヤ人のすることは何でも支持する」という立場の
キリスト教福音派が推定約5000万人もいて、ユダヤ人と提携関係にあります。
(出典:トランプ家とユダヤ教

米国人の約四分の三がキリスト教徒、そのうち約半数がプロテスタント、
約四分の一がカトリックである。
プロテスタントはメソジスト派やユニテリアン派など
さらに細かな宗派に分かれるが、それらは総じて主流派に属する。
かたや、原理主義はそうした宗派にまたがって広がっており、
しばしば「福音派」(エバンジェリカルズ)と称される。
(出典:米国を動かすキリスト教原理主義

キリスト教福音派は聖書の創世記15:18-21を
『神がアブラハムと結んだ「アブラハム契約」に基づき、
シオン・エルサレムがアブラハムの子孫に永久の所有として与えられた』
と解釈し、イスラエル国家の建設を全面的に支持しています。

創世記15:18-21
「その日、主はアブラムと契約を結んで言われた。
「あなたの子孫にこの土地を与える。
 エジプトの川から大河ユーフラテスに至るまで、
 カイン人、ケナズ人、カドモニ人、ヘト人、ペリジ人、レファイム人、
 アモリ人、カナン人、ギルガシ人、エブス人の土地を与える。」

トランプがエルサレムがイスラエルの首都だと発言したことは
キリスト教右派票に対するリップサービスではなく、
右派に影響されたトランプ自身の信条かもしれません。
(参照:クリスチャンシオニズム

キリスト教シオニズムの歴史的起源はアメリカではなく、
イギリスの中東支配時代にまでさかのぼります。
大英帝国にとってインド支配は要で、
中東はインドに行くルートとして重視され、ここに非公式支配を確立しました。

19世紀英国を代表する外相で首相も務めたパーマストン、
彼の縁者であったアントニー・アシュレー・クーパーが英国の中東支配にあたって、
「アラブ人の土地支配からユダヤ人の土地を、キリスト教徒が守るべき」
という発想を持ちますが、ここからキリスト教シオニズムが出てきます。
その考え方が、ユダヤ教からキリスト教に改宗したディズレーリ首相によって、
現実味を帯びる外交政策として実行されていくのです。

この過程でキリスト教でも、
ユダヤ人をキリスト教徒に改宗させる福音主義的な教派の布教活動と結びつき、
エルサレムやその周辺の土地はユダヤ人だけでなく、
キリスト教徒が帰還すべき「聖地」だとみなされるようになります。

背景には、18世紀頃イギリスのピューリタン思想から出てきた千年王国論があります。
これは聖書のヨハネの黙示録に書かれているもので、
この世の終わりに救われるためには、古代イスラエル王国を復活させ、
そこにまずユダヤ人を帰還させる。
そうすることで、ユダヤ人の帰還を支援するキリスト教徒も救われ、
やがてキリスト教徒も聖地エルサレムを目指すという考え方です。
(参照:キリスト教右派から読み解くアメリカ 松本佐保氏

1656年のイギリスでは黙示録にある千年王国を信じたオリバー・クロムウェルは
パレスチナにユダヤ人が帰還すれば「キリスト再臨」の序曲になると明言しました。
彼はユダヤ教指導者マナセ・ベン・イスラエルをオランダから招き入れましたが
1290年にイギリスからユダヤ人を追放して以来、370年後の歴史的な出来事でした。


オリバー・クロムウェル(1599年4月25日 – 1658年9月3日)

1655年にドイツに生まれたプロテスタント・キリスト教徒、
パウル・フェルヘンハウエファは『イスラエルヘのよき知らせ』の中で、
「キリスト再臨」の際にはユダヤ人は
イエスを彼らのメシア(救世主)として受け入れるだろうと宣言した。
(出典:キリスト教シオニストの実態

この思想が20世紀になると、ドイツやイングランド経由でアメリカに渡り、
戦後1947年のイスラエル建国以降、アメリカのキリスト教福音派の多くは
このキリスト教シオニズムを熱狂的に支持します。
これが今日のアメリカのイスラエル支持の外交政策に繋がっていくのです。
(参照:キリスト教右派から読み解くアメリカ 松本佐保氏

ところで第40代アメリカ大統領ドナルド・レーガンを熱烈に支持したのは、
キリスト教原理主義のジェリー・ファルウェル率いる「モラル・マジョリティー」と、
右派学者のミルトン・フリードマンでした。
またローマ・カトリックを含む保守的なキリスト教勢力により、
ジョージ・W・ブッシュが第43代アメリカ大統領に選出されました。
レーガンを信望しているトランプはキリスト教への信仰心が篤いとは思えませんが、
宗教票が大統領選にとって重要であることは当然熟知していたでしょう。

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